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バシナージュ(Bassinage)の理論と究極の高加水パン

2021年4月15日木曜日

パン作り・材料

薄くパリッと焼けたクラストと蜂の巣状のもちもちクラムが、高加水生地のパンの特徴です。”お焦げのできた炊き立てご飯や焼き立てのおもち”に通ずるものがありますね😊

ただし、発酵種旨味の強い美味しい小麦粉を使い、塩味を調整しないと、”水っぽい”パンになるのでご注意を!






バシナージュ(Bassinage)とは?


=「足し水」

と書かれていることが多いですが、フランス語” eau de bassinage”(⇒🔗)が語源で、「水撒き」というのが本来の意味。

高加水の生地や超リッチな生地を作る時に水を後から足す手法のことを指します。

バシナージュが使われるパン


リュスティック、チャバタ、パン・ド・ロデブ、パン・デ・クリスタル、ピザ生地、パネトーネなど。

High-hydration(高加水)とかHyper-hydration(超高加水)Breadと検索すると、たくさんの動画がヒットしますよ。アメリカでサワーブレッドを高加水にするのが流行っているみたいです。これ、「ロデブ」ですね。


バシナージュのやり方


扱い易いパン生地を作るための加水量は、一般的に対粉65~70%くらい(タンパク量による)です。初めから一気に多くの水を小麦粉に加えてミキシングすると、まとまらずにベチョベチョになってしまいます。

加水オーバーでグルテンが完全に緩んでしまうと、生地がまとまりません。
※多少であれば、粉を追加してリカバリーします。


そのため、まずは65~70%程度の加水(強力粉/ブレッドフラワーの場合)で、しっかりグルテンが繋がった生地を作ります。そこに、少しずつ水を加えてなじませていくのが『バシナージュ』です。


バシナージュすると吸水オーバーにならない


パン作りで、最初の加水が足りなくて「硬いかな?」と思って捏ねながら水を足していくと、なかなか生地が柔らかくならない。。。

次に同じパンを作る時、この時の吸水量を目安にして水を入れたら吸水オーバーになってしまった💦

こういう経験ありませんか?



『バシナージュ』はこれと同じです。

グルテンは、ミキシングの初めの段階で硬く結びつくと、その後は水を加えてもなかなか緩みません。

最初は適量の加水でコシのある生地を作り、そこに少しずつ水を足していくと、粉本来の吸水力以上の水を生地に吸わせることができます。


粉本来の吸水力以上の加水が可能なワケ


小麦粉の主成分はデンプンとタンパク質(グルテニンとグリアジン)です。

デンプン粒は加熱するまで水を吸わないので、水は主にミキシングでふたつのタンパク質からグルテンが作られる時に使われます。


適正な加水で出来上がったグルテンは、網目と膜を作って複雑に絡まり、”伸び縮みするスポンジ”状になります。

そこにバシナージュで水を加えると、立体的な構造になったグルテンとデンプンのすき間に水が入り込んでスポンジが膨らんだようになります。

ミキシングの最初に加えた水はウェットグルテンを作るのに使われ、バシナージュで後から加えた水はこのグルテン構造の中に吸い込まれていく、そう想像できます。吸い込まれた水は時間をかけて損傷デンプンやグルテン、その他の原材料などと水和していきます。

そのため、バシナージュをする時は、必ず先にグルテンの骨格をしっかり作る必要があります。また、強いグルテン構造を作る高タンパクの粉を使えば、より多くの加水をすることができます。


生地の状態


高加水の生地は無理やり過剰な水を抱きこませています。だんだん生地と馴染んで、発酵中に緩んでコシが抜けてきます。

そのため、何度かパンチ(ストレッチ&フォールド/コイルフォールド)をして生地を締めながら発酵を取ります。そうしないとダレきって成形できなくなる。



デンプンの力と美味しさを引き出す


オーブン加熱中盤、十分に加熱されたデンプンは、過剰な水分のおかげで粘度が非常に高くなります。

たっぷりの水蒸気によって気泡は風船のように大きく膨らみ、パンはボリュームが出て、外皮と内相膜は薄くなります。

結果、薄くパリッと香ばしく焼けたクラスト、蜂の巣状に大きく穴が開いてしっとりツヤツヤもちもちになったクラム、となるわけですね。



究極の高加水パン「 パン・デ・クリスタル」


これは、手ごねで対粉106%まで加水したパンの動画です。

高加水生地は「優しく延ばして折りたたんで表面を張らせるが基本。最後にオリーブオイルを少しいれてます。


吸水100以上ともなると、ハイプロテインの良質な小麦粉(最強力粉)が必要です。

加水90%のバシナージュ例(強力粉/ブレッドフラワー)


吸水80%程度まではミキサー(超低速)でも可能ですが、それ以上はグルテンが弱くなるので手ごねで加水します。

加水は少しずつ、そして、必ず毎回生地が完全にひとまとまりにつながってから次の加水をします。


吸水68%


ここに水を少量加えます。
最初は生地が滑ってなかなか混ざりません。


少しずつ生地と水が混ざってドロドロしてきます。


ひとまとまりにつながりました。
こうなってから次の加水をします。


強力粉の場合は、吸水80%以上では強い力を加えるとグルテンが切れてしまうので、ハンドミキシングにしましょう。

最強力粉の場合は、ミキサーでも繋げられますが、グルテンが出来すぎて内相の目が細かくなります。


吸水80%の状態



上の106%加水の動画のように手を使うか、ドレッジやヘラをボウルと生地の間に滑り込ませて、水と生地をなじませていきます。


ボウルは反対に動かした方がいいかも?!

吸水90%

グルテンを切らないようにバシナージュで加水すると、ハリのある状態で捏ね上がります。



番外編 バシナージュしない高加水パン


こういうのもあります。

恐らく80〜85%くらいの加水量と思います。簡単そうに見えますが、自分でやるのはけっこう難しいと思う。。。😅

初めから粉と水を一気に混ぜないで、一部の粉を水に溶いて水に粘度をつけてから全体をざっくり合わせてやめています。

これも、生地を緩めない工夫ですね。


パン作りのあれこれについてはこちらのリンク集で→パンやお菓子の原材料・製法・道具のまとめページ

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