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アメリカの小麦粉を徹底解説!

2020年4月16日木曜日

アメリカの小麦粉 パン作り・材料

随時、追記·修正·更新しております。転載や盗用はご遠慮ください。部分引用の際は必ずページリンクを記載いただきますようお願いいたしますm(_ _)m


海外の小麦粉は日本と分類方法が違うためどれを買ったらいいか戸惑いますね。私も最初は何度か失敗しました。。。日本とアメリカではそもそも小麦の種類や製粉方法が違うため、強力粉も薄力粉も日本と同じ粉質の小麦粉を見つけることは難しいです。

パンの研究開発に長く携わってきた知識と経験を生かして、アメリカと日本の小麦粉の違いや使い分けのコツについて書いてみたいと思います。皆さんのお役に立てば幸いです。


アメリカ小麦粉解説第二弾!

薄力粉(ケーキフラワー)に限定して解説しています。


アメリカのおすすめパン用粉(ブレッドフラワー&オールパーパスフラワー)


キングアーサーの粉は全て「無漂白・無添加」です。オーガニックタイプもあります。
(最近ロゴが小麦粒の王冠に変わりました)

キングアーサーフラワー ブレッドフラワー オールパーパスフラワー


キングアーサーのブレッドフラワーは主に食パン用。
ボリュームのあるもちもち食感の食パンにはこちらがオススメ。

キングアーサーのオールパーパスフラワーはまさにパン用万能選手。
これ一つあれば、ほぼ全ての種類のパンが作れます。

最近ほとんどのスーパーで見かけるようになった『Bob's Red Mill』ブランド。キング・アーサーとはまた特徴の違う小麦粉もあるので、好みで使い分けてみてください。


アメリカと日本の小麦粉の違いを徹底解説!


  1. アメリカの小麦粉の種類
  2. 市販小麦粉の概要とおすすめ
  3. Bleached Flour(漂白粉)について知っておくべきこと
  4. Enriched(栄養強化)はビタミン強化米みたいなもの
  5. 日本の小麦粉との比較
  6. 買う時に注意すること
  7. 日本のレシピでパンやお菓子を作る際の注意点とコツ
  8. ハイグルテン粉(最強力粉)を使いこなせ!※改定中

1.アメリカの小麦粉の種類


 アメリカの分類   主な用途 該当する日本の小麦粉
 Bread Flour  
 パン
 強力粉
 All Purpose Flour  パン・焼菓子・料理
 準強力粉・フランスパン用粉
 Pastry Flour   パイ・焼菓子・料理
 中力粉〜薄力粉
 Cake Flour   ケーキ・菓子
 薄力粉 
 Whole Wheat Flour  パン・焼菓子
 全粒粉
 Self-rising Flour   スコーン・パンケーキ プレミックス粉


2.市販小麦粉の概要とおすすめ


※同じ分類の粉でもブランドによって成分比率がかなり違います。ご注意ください。

Bread Flour (ブレッドフラワー:強力粉)

タンパク含量12~13%の強力粉。吸水率が高くボリュームのあるパンが作れます。
概ね、日本の一般的なパン用強力粉と同等に使用できます。

オススメは【King Arthur Unbleached Bread Flour】
ブレッドフラワー(強力粉)
無漂白・栄養強化剤添加無し。
吸水率目安:68%~
イギリス食パン、全粒粉パン、レーズンパンなどに。

日本の高品質な強力粉に比べると、皮質が多く挽き目が粗くグルテンの弾力が強めです。お上品でおとなしめな「カメリア」より、ちょっと荒っぽい「オーション」に近い感じ。

主たる原料小麦はHRS(ハードレッドスプリング)


日本の強力粉と比べるために、日本のレシピでパンを焼いてみました。


All Purpose Flour(オールパーパスフラワー:準強力粉~フランスパン用粉)

オールパーパスフラワーのタンパク含量は、ブランドによってかなりバラつきがあります。

下記クッキングサイトに掲載されているデータを一部切り抜きさせていただきました。オールパーパスフラワーのタンパク含量は概ね10~11.5%くらい。




時々、「アメリカのオールパーパス粉は日本の中力粉(もしくは薄力粉)に相当する」と書いたものを見かけますが、アメリカの小麦の性質から考えても「準強力粉/フランスパン用粉」の方が近いと思います。

サックリホロホロ崩れる焼菓子やしっとりふわふわのスポンジケーキなどは、オールパーパスフラワーでは日本のレシピ通りにはできません。


また、オールパーパス粉を「うどん用」として検討される方もいると思いますが、日本のうどん用粉は主にオーストラリア産でアメリカ産よりキメ細かく柔らかいという特徴があります。タンパク含量の多すぎないものを選ぶと良いと思います。

パン用にオススメのオールパーパス粉はこれ
オールパーパスフラワー(強め)

まさに、パン用万能粉。ソフトな食パン・菓子パン・フランスパンまで広範囲に使えます。無漂白・栄養強化剤無しのオールパーパス粉はこれしか見たことないです(オーガニックを除いて)。

吸水率目安:65%~

タンパク質が11.7%と他のオールパーパスより高く、強力粉に近い準強力粉。数値から「日清カメリヤ」同等と誤解されがちですが、ボリュームのあるフランスパンに使われる「ソレドォル」の方が近いと思います。

日本のレシピで「強力粉の1~2割を薄力粉で置き換える」となっているものにはこれを使うのが良いでしょう。

原料小麦はHRSとHRW(ハードレッドスウインター)です。


焼菓子用のオススメはこれ
オールパーパスフラワー(標準)

タンパク含量10.5%
主に焼菓子やパンケーキ、料理などに使われる粉です。

日本のレシピで「強力粉と薄力粉を半々」となっているものは、このクラスのオールパーパスを単体で使えば良いでしょう。


Pastry Flour(ペイストリーフラワー:中力粉〜薄力粉)

タンパク含量8~9%で中力粉~薄力粉に相当します。欧風菓子向きでサクサクとした軽い食感のパイができます。

ペイストリーフラワー(中力粉〜薄力粉)

日本の内麦同等なので、どら焼き・饅頭・カステラなど少しコシの欲しい和菓子類にも向いていると思われます。


Cake Flour(ケーキフラワー:薄力粉)

タンパク含量7~8%で日本の薄力粉に相当します。

これが最もメジャーですが、Bleached(漂白粉)です。

ケーキフラワー(薄力粉)


キングアーサーには無漂白のケーキフラワーがありますが、比較的タンパク質の少ない小麦粉に小麦デンプンを添加して調整したもののようです。

ケーキフラワー(薄力粉 無漂白)

※以前はBobs red millブランドにも無漂白のケーキフラワーがありましたが、現時点ではキングアーサーのしか見当たりません。


「アメリカのオールパーパスでスポンジケーキを作ったら上手くできなかった」とよく聞きます。シフォンやスポンジなどふわふわ軽い食感のケーキ類にはケーキフラワーを使った方が良いです。


追記
アジア系スーパーで台湾の「無漂白薄力粉(低筋)」を見つけました。日本のフラワーに近いです。

台湾製薄力粉



Whole Wheat Flour(ホールホイートフラワー:全粒粉)

皮ごと挽いた全粒粉です。

(表示されているタンパク質の数値が高いのは小麦の外皮に近い部分にタンパク質が多いせいで、精白小麦粉に比べてよく膨らむということではありません。)

ホールホイートフラワー(全粒粉)ホールホイートフラワー(全粒粉 ホワイト)ホールホイートペイストリーフラワー(全粒粉薄力粉)

パン用全粒粉イチオシ↓
ホールホイートフラワー(全粒粉細挽き)

雑菌がついていたり匂いが悪くなったりしやすいので、保管に注意が必要です。密閉・冷蔵(冷凍)をオススメします。

WHITEタイプ(風味がマイルド)、パン用、菓子用と種類がいくつかあります。よーく見て目的に合わせたものを使ってください。


Self-Rising Flour(セルフライジングフラワー:プレミックス粉)

ベーキングパウダーと塩があらかじめ混ぜてある”プレミックス粉”です。微量原料を計る必要が無いのが利点です。

一般的には、100 gの小麦粉に対して3 g のベーキングパウダーと1g未満の塩が含まれるとされています。

セルフライジングフラワー(プレミックス粉)



3.Bleached Flour(漂白粉)について知っておくべきこと


漂白の目的

  • 熟成を早める。
  • 色を白くする。

現在の日本の小麦粉は全て無漂白です。昔は日本にも漂白小麦粉がありました。現在も特に規制はありませんが、国内品にはありません。

小麦粉は製粉後に数か月の熟成期間を必要としますが、漂白剤(酸化剤)を使用すると数日で処理することができ、さらに色も白く保存性も良くなる。

製粉メーカーにとっても(早く出荷できる)消費者にとっても(安い)メリットがあるので、アメリカでは今も両方が流通しているのでしょう。同じメーカーの粉にも両方あって紛らわしいですね。。。

ちなみに、EU、イギリス、カナダ、中国は漂白剤の使用を禁止しています。

製菓・製パン性への影響

  • グルテンやデンプンの一部が変質しているため吸水や生地の質感が変わる。
  • 化学処理により粉本来の風味が薄くなる。
  • 漂白剤(酸化剤)の中にはブロメート(臭素酸カリウム)のような”生地改良剤”としての機能を持つものもふくまれるため、パンの膨らみと食感を良くする効果がある。

小麦粉本来の風味や食感を生かすため、パンには無漂白のものをおすすめします


製品の色が白くなる、キメ細かい食感になる、ボリュームが出る、サクサクするなど、ケーキ類には漂白粉の特徴が利点となります。アメリカのケーキフラワーの多くが漂白粉なのはそのためでしょう。

ちなみに、アメリカで市販されている菓子類(クッキーやスナック菓子など)に使われている小麦粉のほとんどは『Bleached』です。。。気になる方は原材料表示をよく見てください。





4.Enriched(栄養強化)はビタミン強化米みたいなもの


栄養強化の意味


アメリカでは精白小麦粉にビタミンと鉄分を添加することが推奨されていて、「Enriched(栄養強化)」のものがほとんどです。ナイアシン、チアミン、リボフラビン、葉酸、鉄 が添加されています。

日本でも過去、精白米の普及とともに「脚気(かっけ)」が流行し、予防のために”ビタミン強化米”が導入されました。それと同じような経緯と考えれば良いかと思います。

製菓・製パン性への影響


あまり影響ないようです
キングアーサーフラワー以外のブランドはほとんどが「Enriched」です。


5.アメリカの小麦粉と日本の小麦粉の比較


日本の小麦粉は、世界中から買い付けた小麦を国内の製粉会社が挽き分け、それを目的に合わせてブレンドして販売しています。

一方、欧米では日本のように細かく挽き分けることをしていません。

詳しくはこちらで




また、アメリカと日本では製粉の仕方が違います。日本の市販の小麦粉は基本的に1等粉。灰分が少なくキメ細かく真っ白。

対してアメリカの粉は灰分が多く色もクリーム色。日本の2等粉相当です。そのためタンパク含量だけで日米の小麦粉を単純比較するのは難しいです。

 等級 
1等粉2等粉日清製粉の小麦粉の一例
 灰分量
 0.3~0.4%0.5%前後
 アメリカの小麦粉
 最強力粉  
 スーパーキング 13.8%
 High Gluten Flour(14%)
 強力粉 
 パン
(11.5-12.5)
 パン
(12.0-13.0)
 カメリヤ 11.8%
 スーパーカメリヤ 11.5%
 Bread Flour(12-13%)
 準強力粉 
 
 パン
(11.0-12.0)
 中華麺
(10.5-11.5)
 菓子パン
(11.5-12.5)
 フランスパン
(9.5-10.5)
 ソレドオル 12.0%
 リスドオル 10.7%
 All purpose Flour(10-11.5%)
 中力粉 
 
 ゆで麺・乾麺
(8.0-9.0)
 菓子
(7.5-8.5)
 菓子
(9.0-10.0)
 雪 10.0%
 道産子U 8.5%(うどん用)
 Pastry Flour(8-9%)
 薄力粉 
 
 高級菓子
 天ぷら
(6.5-8.0)
 菓子
(8.0-9.0)

 フラワー 7.7%
 バイオレット 7.1%
 Cake Flour(7-8%)


6.アメリカで小麦粉を買う時に注意すべきこと


古いものは酸化したり匂いがついていたりすることがあるので、Best by before dateを確認して買うようにしましょう。

また、紙の袋に入っているので破れていることもしばしば。。。底が破れているものは虫がつくことがあるので注意が必要です。

「粉の種類」「漂白の有無」「栄養強化の有無」など面(おもて)の表示をしっかり確認しましょう。(私も最初何回か間違えて買ってしまいました。。。)


タンパク含量は、おもてに書いて無ければサイドの原材料表示「Protein」の欄に概ね30gあたりの含有量が表示してあります。

Protein3g → 約10%(=All purpose)
Protein4g → 約12%(=Bread flour)


7.日本のレシピで作る際の注意点とコツ


<パンの場合>

アメリカのブレッドフラワーは日本の強力粉とそもそもの粉質が違うため、特に食パンを日本の強力粉で作るようなイメージに仕上げるのは難しいと感じます。

日本のレシピをキング・アーサーのブレッドフラワーで作ると、「焼いた当日は美味しいけれど翌日にパサつく」と感じる方が多いようです。グルテンの質や灰分の量が影響しています。

そのため、アメリカやアジア圏のホームベイカーさんたちの多くが、湯種、タンジョン、サワー種を使って『日本の食パン』を作ります。硬くもろい性質のグルテンを持つアメリカの小麦粉にあった製法だと思います。


<料理やお菓子の場合>

繊細な食感の日本のレシピには「漂白粉」の方が適しています。

が、漂白粉を使いたくなければ、アジア周辺からの輸入小麦粉を使うことをオススメします。

オールパーパスで代用したい場合は、粉の配合量を5~10%程度減らして水分を少し増やしてください。

その他にも、溶かしバターやサラダ油を使う、お酢を入れる、粉を入れてから混ぜ過ぎない、水分を多めにする、など、食感を柔らかくする工夫もあります。

※キングアーサーオールパーパスはグルテンが多いため日本のお菓子作りにはおすすめしません!


アメリカの小麦粉の保存方法はこちら




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