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ココアパウダーをパンやお菓子に練り込む時、ほとんどのレシピでは「小麦粉と合わせてふるう」となっていると思います。
でも、思うような色が出なかったり、チョコ風味が薄かったり、ムラになったり、焼き上がったパンがパサついたり、お菓子が膨らまなかったり、、、ココア生地ってなかなか難しくないですか?
ココアパウダーの種類とその特徴を理解すると、パンや焼菓子がもっと美味しく作れます。
Photo by Julissa Capdevilla on Unsplash
<内容>
- ココアパウダーの種類
- ココアパウダーの特徴
- パンやケーキがパサつきやすいワケ
- お菓子が膨らみにくい理由
- ココアパウダーの上手な使い方
ココアパウダーの種類
下の写真は、アメリカで最も一般的なハーシーズのココアパウダーです。
銀ラベル:100%カカオ(天然無糖)
赤ラベル:スペシャルダーク(ダッチココア)
天然無糖100%カカオ
カカオマスを脱脂して粉末化したもの。
pH値が5~6の弱酸性。色味は薄く、風味が良く、苦みと酸味が強いです。
ダッチココア(ダークココア)
天然のココアパウダーをアルカリ処理したもの。
pH値が7~8の弱アルカリ性。
色が濃く、風味・苦み・酸味がマイルドになっています。
製菓製パン用はこちらが多いと思います。
ブラックココア
オレオクッキーのような真っ黒に仕上げるのに使う「ブラックココア」は、さらにアルカリ化を強くしたもの。チョコレートの風味はほとんど無くなりアルカリ性の苦味が増しています。
ココアパウダーの特徴
チョコレートを作る過程のカカオマスから、カカオバターを圧搾抽出して残った粉がココアパウダー。脱脂してもなお10~25%の脂肪分が残っています。
粒子が細かく脂肪分が多いため、水をはじいてダマになりやすい。
食物繊維も多く、パンや焼菓子がパサつきやすい。
一般的に粉末食品は脱水乾燥して粉末にするため、吸湿・吸水しやすい。
一方、ココアパウダーは脱脂して粉末化しているため油脂となじみ易いです。
ココアパウダーがパンやケーキ生地と混ざりにくいのは、脂肪分と食物繊維が多いことが原因と考えられます。
ココアのパンやケーキがパサつきやすいワケ
製菓製パンにはダッチココア(アルカリ処理)を使うことが多いと思います。
アルカリ性かつ脂肪分と食物繊維の多いココアパウダーは、パンやお菓子に悪さをします。
- パン生地は弱酸性の状態がベスト。アルカリ性の原材料を入れるとグルテンが伸びにくくなり、また発酵力も落ちます。
- 脂肪分と食物繊維がグルテン形成を阻害して生地のまとまりが遅くなります。
- ココアパウダーが吸水して生地が締まってきます。焼成後はパサつきが出やすい。
- 油脂の一部がココアパウダーに吸着され、ソフトさや老化抑制といった油脂の効果が弱くなります。
ココアを入れるとお菓子が膨らみにくくなる理由
- アルカリ処理をしたダッチココア(ダークココア、ブラックココア)は、膨張剤の反応を弱くします。
重曹は酸性材料と合わせて使用しないと反応しません。天然ココアパウダーは弱酸性なのでガスを発生しますが、アルカリ性のダッチココアでは反応しません。(ベーキングパウダーはあらかじめ酸化剤が配合されていて材料に起因せずに反応しますが、少なからず影響があるのではないかと思います。)
- 吸水力の高いココアパウダーのせいで生地が硬くなります。
- 膨張剤を使わず泡立てて膨らませるスポンジ生地などの場合、脂肪分と食物繊維が気泡を潰して膨らみにくくなります。
ココアパウダーの上手な使い方
ダッチココアのアルカリ性を中和する
酸性の原材料(フルーツ、レモン汁、ビネガー、ヨーグルト、発酵種など)を合わせて使う。パン生地もケーキ生地もアルカリ側より弱酸性よりの方が良いとされます。
ココアの香りを立たせる
ココアパウダーは粉末のまま小麦粉に混ぜるよりも、お湯または熱した油脂で溶くことで香りを開かせることができます。
前処理してからパン生地に混ぜる
ココアパウダーに、生地配合の分量外のバター(もしくはサラダ油)と湯を加えて”ペースト”にしてから生地に加えます。
ココアペーストの作り方
※これは目安です。ココアパウダーやパンの種類によって調整してください。
ココアパウダー
無塩バター (ココアパウダーの半量)
お湯 (ココアパウダーの1.5倍)
滑らかなペーストになるまでよく混ぜて、十分に冷ます。
滑らかなペーストになるまでよく混ぜて、十分に冷ます。
パン生地に練り込む場合
ココアペーストを作ったら溶かしたバターを再度固めるため冷蔵庫で冷やし、バターを入れるタイミングで生地に入れます。
※油脂の入らない生地の場合も、ココアパウダーを使う場合は2%程度の油脂を入れた方が良いです。
小麦粉100%に対し、ココアパウダーのみなら8〜10%、チョコレートと合わせて使うなら5%程度が適量です。
菓子生地に混ぜる場合
温かいペーストに生地の一部や牛乳などを加えて生地と同じ硬さまでゆるめ、それを最後に加えて混ぜます。
まとめ
小麦粉の一部をココアパウダーで置き換える方法で生地に混ぜると、生地の硬さや性質が変わってしまい、グルテン形成や泡立ちが阻害されます。
それよりも、出来上がった生地の最後に、ペーストやクリーム状にしたココアを手早く混ぜる方が混ざりやすく生地の状態が良くなります。
ココアパウダーを入れたパンやケーキが思い通りに出来ない時は、ぜひ参考にしてみてください。
パン作りのあれこれについてはこちらのリンク集で→パンやお菓子の原材料・製法・道具のまとめページ
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