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パネットーネ作りってやっぱり難しいです。難しい理由はたくさんあります。あり過ぎます💦 でも上手に出来たパネットーネの美味しさは格別!!!
私の3年間の試行錯誤とそこから学んだノウハウをぜひ皆さんにもお役立ていただければ、と思います。
パネットーネの失敗例
これ↓は、最初の頃に何度もやった失敗です。
生地がまとまらずデロンデロン、グルテンが切れて油脂が分離しています。こうなったらリカバリーできません😭
卵もバターも大量に使うし、ドライフルーツなども高価、紙の型も使い捨て。パネットーネの失敗はなかなかツライです。
私のように修行しないで作れるように、パネットーネ作りで注意すべきことをまとめてみます。
手作りパネットーネ 失敗の原因と注意点
だいたいこんなところなんじゃないかな~という失敗例をあげてみました。順に解説します。
- 生地がまとまらない
- ダマができる
- 発酵に時間がかかる
- 気泡が小さく焼き上がりが重い
- パサつく
- 酸味が強い
①生地がまとまらない
原因1:ミキシング方法が間違っている
パネットーネの生地は、他のパンではあり得ない量の砂糖・卵・バターを使います。普通の菓子パンのようにこれらを一度にボウルに入れてミキシングをしたら、全く生地になりません、、、卵とバターの油分がグルテンを阻害してしまうから。
公開されているレシピには、作り方も含めて忠実に従うことを強くオススメします。レシピによって原材料を加える順番がいろいろで混乱するかもしれませんが、最初のうちは中種も本捏ねも必ずレシピに書かれている通りの原材料と手順で、グルテンのつながりと生地の温度を確認しながらミキシングしてください。
私が皆さんにオススメしている「Autumn Kitchen」さんの動画でも、何度も何度も生地を引っ張って、しっかり張りのある状態であることを確認して見せています。家庭用のフック型ミキサーはパネットーネ作りにはあまり向いていませんが、バシナージュの手法で原材料を少しずつ加えながら辛抱強くミキシングします。
私はせっかちなので待ちきれなくて急いで入れてしまい、結果、まとまらなくなったことが何度もあります。
原因2:ミキシング温度が上がりすぎる
ミキシング時間が長いので生地温が上がりやすい。生地温が高くなると発酵が始まって生地が緩みます。また、バターが溶けて生地が柔らかくなったり分離したりします。ミキシングは低速で、捏ね上げ温度は24~25℃厳守!
私のミキサーはモーター熱で生地温が上がってしまうので、ミキシングボウルを保冷剤で冷やしながらミキシングしてます。
原因3:原材料が違う(小麦粉・水・砂糖)
パネットーネは副原料がたくさん入る生地で、さらに発酵種&長時間発酵でグルテンが緩みます。そのため大きく膨らませるためにはグルテンが強く吸水力の高い小麦粉が必要です。
軟水か硬水か、上白糖かグラニュー糖か、これらも生地の状態に影響します。
注意して仕込んでもレシピの原材料を全て入れると生地が緩んでしまう、という場合はこれらの原材料に原因がある可能性も。
②ダマができる
砂糖と卵黄を入れる時に『ダマ』ができやすいです。
砂糖、卵黄、バターを入れるタイミングはレシピによっていろいろ。私もまだ試行錯誤しています。
パネットーネのミキシングには、二本のアームがまるで人の腕のように動く「アートフェックス(ダブルアーム)ミキサー」が一番適しています。生地に力がつき、温度が上がりにくく、原材料が混ざりやすい。生地に卵やバターを一気に入れてもよく混ざります。
家庭の縦型フックのミキサーは、生地が固いと原材料が滑って混ざりにくいです。適宜自分の手も使うようにすると良いと思います。
③発酵に時間がかかる
原因1:発酵種の力不足
本格的なパネットーネのレシピにはほとんど「発酵種は、仕込み当日に4時間の予備発酵を1~3回行う」と書かれています。
目的は、酵母を増やして発酵力を強くすることと、乳酸菌が作る酸を減らすことの2点。
サワードウブレッドに使うサワー種のような”柔らかく酸っぱい”発酵種はパネットーネには向きません!
吸水をギリギリまで減らした(40〜50%)固い種が4時間で3倍になり、強い酸臭がしない。
これが、パネットーネを作るために必要な発酵種です。私は普段から固い種を使っているので、リフレッシュ(予備発酵)は3回しない時もあります。
理由はこちらで解説しています。
原因2:強い生地ができていない
非常に副材料の多い生地なので、グルテンに強い力が無いと発酵を支えられません。
生地の力が不十分だと、焼成前のカットやトッピング作業の際に潰れてしまったり、焼成中に気泡が破裂してガスが”プスっ”と抜けるのが見えます。。。
対策は「①生地がまとまらない」を参照してください。
原因3:発酵温度が適切でない
発酵温度が25℃以下では酵母の活性が弱くなり、乳酸より酢酸が増えやすい。
発酵には30℃以上が望ましいですが、温か過ぎると生地中のバターが柔らかくなって生地が緩んで膨らみにくくなります。
最適な発酵温度は27〜30℃です。
④気泡が小さく焼き上がりが重い
原因1:発酵力不足
対策は「③発酵に時間がかかる」と同じ。
原因2:焼成温度が高過ぎる
パネットーネはパンとケーキの合いの子のようなパン。パンの膨らみに卵も大きく寄与しています。焼成温度が高いと表面のタンパク質が早く固まってしまい十分に窯伸びしません。
ゆえに、バターをのせたりグラサージュをかけて、表面が固まるのを極力遅らせた方がよく膨らみます。
オーブンによって違いますが、160~180℃が焼成温度の目安です。
原因3:ミキシングが強過ぎる
ダブルアームミキサーやスパイラルミキサーに比べ、家庭用のフック型ミキサーは生地中に空気が入りにくく原材料も混ざりにくいです。
そのためミキシングが長くなってグルテン膜が細かくなり、生地構造が緻密になるため不揃いの大きな気泡ができません。
ミキシングの後半を手捏ねにしたりフルーツを軽く手混ぜにするなど、分割前の生地に意識的に空気を折り込むようにすると内相の見た目が良くなります。
⑤パサつく
原因1:焼成時間が長すぎる
せっかくレシピ通りに生地ができても、オーブンによって焼成条件も調整が必要です。
これは試行錯誤するしか解決方法がありませんが、焼き過ぎを避けるためには中心温度90~95℃を焼き上がりの目安としてください。
原因2:原材料と配合の問題
パネットーネをしっとりと焼き上げるためには、十分な吸水力のある強い小麦粉でしっかりしたグルテンを作ることと、乳酸発酵でグルテンを柔らかくすることの二つがとても重要です。
小麦粉の力が不足していると、焼成後のパンがもろくなるのでパサつきを感じやすいです。最強力粉がない場合は小麦粉のレベルに合わせた卵やバターの配合量に調整すべき。
また、卵黄の代わりに全卵を多く使うと卵白の影響でパンがパサつきます。
⑥酸味が強い
原因は「酢酸」です。
『28~30℃で4時間の発酵種の予備発酵』は、乳酸菌の活性を下げて酵母を優勢にします。
小麦粉と塩で作るサワードウブレッドは、乳酸発酵で生じる「酢酸」の酸味と旨味がパンを美味しくしますが、美味しい原材料をたくさん使うパネットーネの場合は、強い酸味は可能な限り抑え、乳酸のまろやかな風味でpHを下げたい。
予備発酵(発酵種のリフレッシュ)を繰り返すことで、種の冷蔵保存中に増えた「酢酸」を減らし酵母の働きを強めることができます。
長く保存していた固い発酵種を砂糖水にしばらく漬け、それを絞ってリフレッシュさせます。
水に漬けて種に溜まった「酸」を溶かして減らし、砂糖(酵母のエサ)を加えて弱った酵母の活性を上げる。
また、「パネトーネ・マザー/リエビト・マードレ」をこんな風に水に漬けて保存する方法もよく見かけます。
ただし、これは冷蔵庫が一般的では無かった時代のやり方で、容器に入れてしっかり蓋をして冷蔵保存しても変わらないという意見もあります。
パネットーネ作りにとって一番大事なことは、適性な酸度で強い発酵力を持つ発酵種を作り、乳酸と酢酸のバランス(3:1)の良い温度(27~28℃)でパンを発酵させること、です。
酸味が強いと甘さを弱く感じるので、最初の頃は砂糖の配合量がなかなか決められませんでした、、、作る度に増やしたり減らしたり。砂糖の量が問題なのでは無いと気づいたのはごく最近のこと。
ある程度酸っぱいから砂糖をたくさん入れることができ、酸と砂糖双方の効果で日保ちが長くなるし、味のバランスも良くなる。
美味しいパネットーネが焼けますように!
パネットーネ関連まとめ読みは【カテゴリー: パネトーネ/パネットーネ】から。
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