🍞今日のパン
こちらはイースト使用のストレート法(直捏法)を想定したテストです。
2020年新型コロナパンデミックを機に家庭でパンを作る人が急激に増え、イーストさえ手に入らなくなり、アメリカでは自家製酵母(サワー種)を育ててサワードウブレッド作るのが大流行!
より本格的に有名ベーカリー並みのパンを自宅で作ろうと「高加水・長時間発酵」でしっとりもちもちクープパッカンのプロ級サワードウブレッドに挑戦する人が増えています。
最近は、グルテン質の良いハイグレードな強力粉も家庭用サイズで買えるようになりました。私もアメリカの材料や新しいオーブンにも慣れてきたし、手持ちの小麦粉と今回新しく買った強力粉2種類を本格的にテストしてみることにしました。
アメリカのメジャーブランドパン用小麦粉
今回比較したのは写真の8種類
キングアーサーフラワー King Arthur Flour (以下KAと記載)
- High-Gluten Flour 14% (業務用Sir Lancelot high-gluten flour同等)
- Bread Flour 12.7%
- All-Purpose Flour 11.7%
ボブズレッドミルフラワー Bob’s Red Mill Flour (以下BRMと記載)
- Artisan Bread Flour (Enriched/栄養強化剤含有)
- Whole Wheat Flour
- Durum Wheat Semolina Flour
セントラルミリングフラワー Central Milling Flour (以下CMと記載)
- Organic Bread Flour 11.5%
- Organic Old-World Bread Flour 12.5%
BRMの小麦粉にはKAのようなタンパク質の数値表記がありません。個包装側面のProtainの値から計算した概算値は、Artisanが12~14%、WWが17~18%。
タンパク質は外皮に近い部分に多いので、全粒粉のように皮がたくさん含まれているものはタンパク質の量が多いです。この数値だけで単純に小麦粉の品質を比較することはできません。アメリカのパン用粉は全般的に日本の強力粉より灰分値(Ash)が高く、タンパク質値が日本の小麦粉より高めと感じます。
KAのブレッドフラワーで実際にパンを作ってみた印象としては、日本の強力粉とそんなに違いません(→カメリヤと比べてみた)。ただグルテンが硬めと感じます。
写真手前真ん中2種類、セントラルミリングフラワーの小麦粉については、別途こちらにも投稿していますので興味のある方は合わせてご覧ください。
セントラルミリングフラワーにも「High Mountain (High protein bread flour)
13.5%」という最強力粉があるのですが、何度か試作した結果”特殊な性質で家庭製パンには非常に使いにくい”という自分なりの結論に達し、今回の比較試験からあえて外しました。
パン用小麦粉の吸水とグルテン品質のチェック
テスト① 吸水テスト
普段使っているKAのブレッドフラワーとオールパーパスは適正吸水量がわかっていますから、それを目安に、小麦粉30g+海塩0.6gに水を加えて手捏ねし、それぞれ30分後にwindowpaneテストをして吸水量と生地の進展性をチェックしました(イーストは入ってないです)。小麦粉によって、適正な生地状態になる吸水量は違います。それぞれ見当をつけて水を加えて捏ねてみて、固すぎor柔らかすぎと感じたものは何回かやり直して良さげな状態を見つけていきました。
下の写真が30分後に生地を薄く延ばした状態。どれも生地が薄く透けるくらいに伸びています。
BRMの「全粒粉」とパスタ用の「デュラムセモリナ粉」も十分薄く伸び、パン生地に添加して使用するのに適しているとわかりました。
セモリナ粉は歯切れの良い食感になるので、私はピザ生地、サワードウブレッド、チャバッタなどに少し加えたりします。全粒粉やセモリナ粉のように粒子が大きく繊維質の多い粉は吸水に時間がかかります。
テスト2 2時間後の生地状態
丸め直した生地に覆いをして静置し、2時間後に状態を確認しました。
写真では少しわかりづらいかもしれませんが、上下段とも右側2個ずつの生地は、KAのBread Flourに比べてダレて平べったくなりました。
KA High-Gluten Flourは、お餅のような柔らかさがあるものの、時間が経つとべたつきは収まって扱いやすい生地になりました。生地の色が一番白い。
BRMのArtisan Bread Flourは、この時点ではCMの粉に似ている印象でした。吸水も同程度、グルテンの質感も似ていると感じました。隣のKA High-Glutenに比べて黄色っぽいのがわかります。
2時間後の生地を薄く延ばしてみました。
テスト3 強力粉かオールパーパス(準強力粉)か
BRM Artisan Bread Flourは「良い食パンができる」と聞いており、タンパク量も強力粉同等。開封するまでは”強力粉もしくは最強力粉レベル”と想像していました。ところが実際に粉を触ってみたら、粉の手触りが強力粉と少し違うし吸水も想像より少なかった。
そこで、製パン技能試験の際に強力粉と薄力粉を見分けるために行う簡易テストをやってみました。
硬質小麦から作られる最強力粉・強力粉はサラサラしているため握っても粉が塊りになりにくくすぐに崩れます。一方、薄力粉や中力粉はしっとりしていて握ると指の跡が残ります。
BRM Artisan Bread Flourはしっかりと形が残りました。タンパク質の量は多いのですが粉質はどちらかと言えばオールパーパスに近く、かと言って外皮が多いという感じもなく、、、小麦粉のテストをした段階では「ホントに強力粉??」という印象でした。
各小麦粉のパン生地適正吸水の目安
扱いやすい生地状態になる吸水量はだいたいこんな感じと思います。
粉30g+塩0.6gに加えた水の量 | g | 吸水目安% |
KA Bread Flour | 21 | 70 |
KA All-Purpose Flour | 19.5 | 65 |
KA High-gluten Flour | 21 | 70〜 |
BRM Artisan Bread Flour | 20 | 67 |
CM Organic Bread Flour | 20 | 67 |
CM Organic Old-World Bread Flour | 22 | 73 |
BRM Whole Wheat Flour | 24 | 80 |
BRM Durum Semolina Flour | 24 | 80 |
安定感、汎用性、風味、扱いやすさ、コストなど様々な面を総合するとキングアーサー・ブレッドフラワーは優秀と改めて思いました。
粉の適正吸水量がわかったので、KA High-GlutenとBRM Artisanでイギリス食パンを作って検証してみましょう! 驚きの結果は次の投稿で(^_-)
その他の小麦粉関連投稿はこちら ☞ アメリカの小麦粉
読んでいただきありがとうございました。最後にブログトップの応援ボタンを押してくださると嬉しいです。お互い良い一日になりますように(^^♪
2 件のコメント:
すごく参考になります!
ところで、ウインドウパーネテストはウインドウペインテストではないですか?
>ミン様
こんにちは。ご指摘ありがとうございます。カタカナではウインドウペンとかペーンと書くんですね。
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