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「パン屋のサッちゃん」と共に考える ~ライ麦100%のパンについて~

2023年3月14日火曜日

パン作り・材料

🍞今日のパン

ジョージア州の小さなファーマーズマーケットの週末限定パン屋さん兼ユーチューバーの『パン屋のサッちゃん』こと麻生幸子さんから、時々難しい質問をもらいます🧐 

パン作りに関する質問をいただくと、自分も頭の整理ができるし、曖昧だったことをついでに勉強できるので楽しいです。しかも、上級者さんやプロのパン屋さんからの質問には答えがいがあります! 

先日も書きましたけど、パン作りは「サイエンス」なので、見よう見真似で技術を習得しても、応用しようとすると壁に当たって迷走することが珍しくないです。

原材料や焼成という化学的な要素と酵母や酵素という生物学的な要素が製造工程で複雑に相互作用するせいで、頭で考えるより応用は難しいです。


さて今回の宿題は、、、「ライ麦パン」

ライ麦100%のサワードウブレッドのレシピで、サワー種を粉対比30%ほど使うものもあれば80%以上入れるものがあったり、一次発酵、二次発酵と両方とるものもあれば、最終発酵しかとらないものなどもあります。

今のところドイツのレシピは最終発酵しかとらないものが多いと分かっているんですが、サワー種70%近く入れても一次、二次発酵とも取るレシピもあるので、しかもそれがすごく酸っぱいわけでもなくて(多少の酸味はありました)全く分からなくなってしまいました。

ライ麦パン、いわゆるドイツパンのことです。しかもライ麦100%のパンは、みっちり目が詰まってどっしりもっちり真っ黒で酸っぱいパン。私はヌルっとした食感がちょっと苦手なんですよね~💦

ライ麦粉の特徴


ドイツやロシアなど冷涼でやせた土地が多く小麦が栽培しにくい国ではライ麦や蕎麦をたくさん食べます。そのためライ麦パンやそば粉を使った料理などがいろいろあります。

① グルテンが出来ない


ライ麦粉にはグルテンを作るためのグリアジン(粘性)とグルテニン(弾性)のうちグルテニンがないためグルテンができません。グルテン膜ができないので生地がガスや水蒸気を包むことができず、発酵や焼成で生地がふんわり膨らみません。

② ペントサンが多く含まれる


以前に解説したようにライ麦粉には「ペントサン」という吸水ポリマーのような糖が含まれています。小麦粉の生地に少量のライ麦粉を加えると、それが風味やボリュームにプラスの効果を与えます。



③ 発酵が早く酸味が強くなる


ライ麦でサワー種を作ると違いが顕著です。ライ麦粉は小麦粉に比べて酵素が強いためライ麦サワー種は発酵が早く酸味が強くなります。



ドイツパンと言えば、鳥越製粉


日本の製粉会社さんの中で、『鳥越製粉』さんが昔からドイツパンに造詣が深く自社ウェブサイトにライ麦パンの知識をたくさん掲載してくださっています。下記表もそちらからの無断借用です。お許しを🙇


このライ麦粉と小麦粉の比率でパンを分けるというのはドイツパンの特徴ですね。これ、製法的に意味があるんだと思います。

なぜなら、私も以前に低糖質パンの開発で「小麦粉をどれだけ大豆粉に置き換えられるか」という試作をやったことがあるのですけど、50%を超えると一気にパンを膨らませるのが難しくなるんです。

ライ麦パンも、小麦粉がメインの時はライ麦粉の良い面が生かされるものの、ライ麦粉がメインになるに連れて悪い面が目立ってくる。ゆえに、膨らまないパンを膨らますためにいろいろ研究され工夫された製法になっているんじゃないかと思います。

ライ麦粉100%のパンの製法


ライ麦粉100%ではグルテンが全くできません。外皮などの不溶性食物繊維はそのままではボソボソとした食感で風味が悪く、生地の膨らみも阻害します。

デンプンは60%ほど含まれているので、デンプンの粘性を利用すれば、ペントサンによる吸水・増粘効果と合わせて加熱によってパンを膨らますことができます。

グリアジンも水を加えるとベタベタした性質になりますが、小麦粉併用の生地でなければパンを膨らますのにあまり役に立つとは思えないかな。

ライ麦粉比率の多い「ロッゲンブロート」は、そういう原理原則をベースにした製法になっているハズです。


ライ麦パンの製法はとても複雑です。元種を何段階かに分けて発酵させる方法(2段階法、3段階法)や中種を湯種状にするのは、微生物や酵素の力で食物繊維やデンプンを改質して生地としての性質や食味を良くするためと思います。

サワー種の配合量の多寡は、この中種発酵の段階をどういう方法でどの程度するのかによって違うのではないでしょうか。

酸味については、ライ麦サワー種は一般的に酸っぱいと言われますが、発酵温度を30℃に上げたりデンプンを加熱処理したりすれば、酸生成を抑えて甘みを引き出すことが可能です。デンプンを微生物に利用させると糖も増えます。水分の多い生地は焼成でデンプンが十分に糊化して甘みが増します。パネットーネもそうですが、酸度が高くても甘みが強ければそれを感じません。

「最終発酵しか取らないものが多い」というのも何となく理解できます。デンプンは加熱するまで粘度が出ません。小麦粉生地はグルテンのおかげで発酵→パンチ→発酵→成型→発酵と何段階かに分けて生地中にガスを貯めていくことができますが、グルテンの無いライ麦粉生地はその都度ガスが全部抜けてしまいます、、、最終成型までにパンができるだけ膨らむように微生物と酵素の力で成分を改質し、酵母の力をつけ、高温で一気にデンプンを糊化させて膨らませる、という方法でしかライ麦粉100%のパンって膨らまないと思うんですよね😅


ドイツはパンの国


鳥越製粉さんのウェブサイトによれば、

ドイツは世界一パンの種類が多いといわれており、そのため「パンの国」と呼ばれることがあります。大型パンは推定300種類以上、小型パンは推定1200種類以上あると云われます。ドイツは地方色が強く、各地で色々なパンが作られているため正確な数はわからないのが現状です。

日本で知られるのは「カイザーゼンメル」くらいですかね?私もそれしか作ったことないかも。。。サッちゃんのライ麦パン、食べてみたいな~😋


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