🍞今日のパン
小麦粉の比較試験をいろいろやってみたり、小麦粉のプロにあれこれ質問してみたり、ここ数か月の間にアメリカの各メーカーの小麦粉の性質の違いとその根拠についてかなりわかってきました。
実際にいろいろ使ってみた中で唯一特質がうまく説明できずしっくりこなかった【Bob's Red Mill : Artisan Bread Flour】についても、ようやく納得できる答えが自分で導き出せました。プロからも「それで合っていると思う」とお墨付きをいただいたので、今日はそれをまとめて、ここのところずっと続いていた小麦粉のテクニカルな話題に一区切りつけたいと思います。
これまでの経緯はこちらで確認願います。
アメリカの消費者向け小麦粉の2大ブランドである「キングアーサーフラワー」と「ボブズレッドミル」。それぞれのメーカーが”ハイグルテン””アルチザンブレッド用”と謳っている小売り商品がこのふたつ。
それぞれの商品説明の一部をウェブサイトから抜粋しました。
過去記事をしっかり理解できている方には、この商品説明を読んだだけでこの二つの本質的な違いがわかると思います。
KAのハイグルテンフラワーは、アメリカ・カナダの高品質パン用春小麦【HRS】100%。タンパク質の多い外皮に近い部分が混ざると色がくすむ硬質赤小麦ですが、この粉は非常に色が白いことから、硝子質の多い良質の小麦から製粉されたものであることがわかります。
一方、
BRMのアルチザンブレッドフラワーは、”高タンパク質”でありながら「オールパーパス粉」と明記されています。また、過去の比較試験で私はこの粉をこう評価しました。
・黄色味がとても強い
・質感はオールパーパス粉っぽい
・窯伸びが良い
・焼成後のパンの口溶けが悪い
黄色味が強いのは「冬小麦」の特徴です。特に外皮部分が多く入ると黄色が強く出ます。原料小麦が「HRW」であり、外皮に近い部分まで製粉しているために黄色味が強くタンパク質が多い。また、外皮に近い部分には酵素も多く、酵素活性が高いためにパンが窯伸びしやすい。反面、くちゃつきや口溶けの悪さといった食感への悪影響も出る。
ただし、こういうタイプの粉はサワー種との相性が良いそうです。サワー種の乳酸菌の作用で雑味がマスキングされ、酵素活性も抑制されるから。
このボブズレッドミルのアルチザンブレッドフラワーは、日本の国産強力粉【キタノカオリ】の「黄色味が強く食感がむちっとしている」という特徴と似ています。
国産パン用粉は、アメリカのオールパーパスの原料小麦と同じ「冬小麦」がほとんどで、輸入小麦に比べて”風味が淡泊”と言われることが多いです。アメリカやカナダのオールパーパス粉は日本の国産強力粉と似た特徴を持っていると言えるかもしれません。
というわけで、この二つはともにハイグルテンと謳っていても由来の全く異なる小麦粉であるとわかりました。
KAハイグルテンフラワーはパッケージにベーグルの絵が描かれていることから見ても、サワードウブレッドよりベーグルやテーブルロール、食パンなどに使う方が向いていて、BRMアルチザンブレッドフラワーはその名のとおりアルチザンなサワードウブレッドの方が良さが生かされる、これが私が出した結論です。
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