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生イースト、アクティブドライイースト、インスタントドライイースト、セミドライイースト、何がどう違ってどう使い分ける???

2023年4月14日金曜日

パン作り・材料

随時、追記·修正·更新しております。転載や盗用はご遠慮ください。部分引用の際は必ずページリンクを記載いただきますようお願いいたしますm(_ _)m

※ページの最後にそれぞれのイーストの特徴を一覧にまとめています。参考にしてください。

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アメリカでパン作りを始めた当初、アメリカのスーパーに売っているドライイーストで思うようにパンが発酵せずかなり苦労しました💦 その時に勉強したアメリカのドライイースト事情と私の失敗経験を綴った記事がこちら。


この記事の中で「一番使い勝手の良いドライイースト」として紹介しているのが『フランス ルサッフル社のサフ(Saf)・インスタントドライイースト』です。

これはロシアに住んでいた時に使っていた赤サフ。саф-момент дрожжи(サフ-モメント ドゥロジィ)


ロシアの片田舎にさえ個包装のサフ・イーストがあったので、よもやアメリカのスーパーで売ってないなんて思いもしませんでした!!ちなみに日本のスーパーのお菓子材料コーナーにある日本メーカーのドライイーストも中身は「サフ」らしい。


アメリカより日本の方が進んでます


日本のベーカリーはフランスやドイツの技術者から学んでいるので、ルサッフル社はじめヨーロッパの最新原材料もどんどん取り入れられていきます。さらに、富澤商店やコッタさんのおかげで業務用商品を個人が購入することも可能になり、ベーカリーと同じレベルの道具や材料が容易に手に入ります。

アメリカはヨーロッパの原材料が手に入りにくいし少量単位で購入できない。チルド配送も無いし。

ドライイーストも旧来の米国産品(アクティブドライイースト)が主流で、前の記事にも書いたように、キングアーサーフラワーの技術者さえもコレを嘆く、、、


アメリカのドライイーストを、サフ・インスタントドライイーストの代わりに使ってはいけない


キングアーサーフラワーのウェブサイトにその理由が書いてありますから、興味のある方はこちらをお読みください。



同じくキングアーサーフラワーのサイトに、生イーストからアクティブドライイースト、もしくはインスタントドライイーストに置き換える場合の比率が示されています。

To convert from fresh yeast to active dry yeast, multiply the fresh quantity by 0.4.
To convert from fresh yeast to instant dry yeast, multiply the fresh quantity by 0.33.

アクティブドライイーストは、インスタントドライイーストよりもたくさん使う必要があります。発酵力が弱い(死んでいるイーストが多い)ので同じ分量ではだめですよ、ということ。

さらに、アクティブドライイーストにはビタミンCが添加されていないので、フランスパンや食パンの窯伸びやクープにも大きく影響します!


「代わりに使ってはいけない」というのは言い過ぎですが、違いを理解して使わないと私のように悩むことになります。特に菓子パン系は難しいです。(使い方は冒頭のリンク先記事に書いてます。)


生イーストとドライイーストの違い


最近、日本でも好んで生イーストを使う方がいますね。

生イーストの特徴と使い方

生イースト、英語ではCompressed yeast/Fresh yeast/Cake yeastと表記されます。


灰褐色の粘土のような外観で、手で押さえるとボロボロと崩れます。通常は1ポンド(日本では500g)単位で販売されますが、ヨーロッパでは使い切りサイズで買えたり、製菓材料店やベーカリーで小分けされていることもあります。また、業務用にはポロポロに崩れた状態で袋に入ったタイプもあります。

イースト製造工場で培養された「生きた酵母」を固めたものなので、冷蔵で数週間の使用期限です。

生イーストの利点はイーストの活きの良さ!

冷凍すると細胞が壊れて活性が下がるので冷凍保存はできません。冷凍するならインスタントドライイーストを使った方がいいです。

生イーストはフレッシュな状態だからこそ安定したパンが焼けます。そのため工場やベーカリーでは定期的に一定量を購入し、古いものを廃棄して新しいものに入れ替えます。

生イーストは仕込み水で溶かして使用します。( 予備発酵は必要ありません。溶かしたらすぐ使ってください。)


ドライイーストはそれぞれの特徴でしっかり使い分けて!


生イーストの保存性の問題を解決するために生まれたのがドライイーストです。

古いタイプのドライイースト(アクティブドライ)には、酵母を乾燥させる過程で死んだり弱った酵母が含まれています。また、粉に直接振り入れても溶けないため予備発酵が必要です。

死んだ酵母は発酵阻害やイースト臭の原因とされ、昔のドライイーストで作ったパンは「イースト臭い」と言われることもありました。。。

ただし、乾燥によって休眠しているアクティブドライイーストは立ち上がりが遅い代わりにゆっくり長く発酵するし発酵臭も弱いため、フランスパンやカンパーニュなど長時間発酵のシンプルなパンに向いていて生イーストと使い分けられていました。

※現在アメリカで販売されているアクティブドライイーストは顆粒状に改良されて(従来は丸い粒粒)予備発酵しなくても良いらしいですが、やっぱり発酵は遅いです。


アクティブドライイーストの欠点を改善したのがインスタントドライイーストです。インスタントドライイーストは小麦粉に直接混ぜて使え、発酵も安定していて予備発酵も必要無し。家庭では大変使いやすく特にホームベーカリーに好都合。ホームベーカリーの予約機能はインスタントドライイースト無くしては成り立ちません! イースト臭いと言われることもほとんど無くなり、世界中で家庭でもベーカリーでも使われるようになりました。

サフにはビタミンC入り(赤・金)と、無し(青)があります。

ビタミンCは生地に張りとコシを与え、ボリュームを出すのに役立ちます。また、平たく延ばす生地にはビタミンCの入っていない(青)が適しています。赤と金は糖の配合量によって使い分けます。※現在のところ、アメリカには青サフは有りません。

(最後に詳述しますが、アメリカのインスタントドライイースト「ラピッド/ファスト」タイプはサフに比べて発酵持続力が無く、特に糖の多い生地では後半の発酵が非常に悪くなります)


近年、『インスタントドライイーストと生イーストの良いとこ取り』と評されるセミドライイースト(セミサフ)が登場しました。 見た目はインスタントドライイーストとほとんど変わらずサラサラした顆粒状ですが、インスタントドライイーストが常温で販売されるのに対し、セミサフは冷凍販売です。また、水分が多いのでインスタントドライイーストより多めに使います。

<置換比率>
生イースト1=セミドライイースト0.5=インスタントドライイースト0.33


インスタントドライイーストとの違いは、冷蔵冷凍環境でも発酵力が安定していることと、ビタミンCが含まれていないこと。

ビタミンCを入れるものと入れないものどちらにも使えるなど汎用性が広く管理も楽なので、ベーカリーでも生イーストからこれに切り替えるところが増えています。


工場やベーカリーで生イーストが好んで使われてきた理由


安い:生きた酵母をプレスしただけなので、ドライイーストに比べて製造が簡単で価格が安い。

発酵が早く強い:酵母が元気なので当然ながら発酵力が強い。さらに糖耐性が高いのでインスタントドライイーストのように糖濃度で使い分ける必要がない。

種類が多い:冷蔵や冷凍に対応したもの、糖に強いもの、香りの良いものなど、酵母の特性を活かした様々なタイプがある。


大量にパンを作る工場やベーカリーではイーストを長く保管する必要は無く、生地配合や作業環境に影響を受けにくくパンに合わせて使い分けられる「生イースト」を使う利点が多いんですね。


生イースト最大の特徴


日本のオリエンタル酵母工業(株)のイーストの一覧表をウェブサイトから拝借してきました💦※ここに書いてある「冷凍耐性」は生地の冷凍耐性のことです。

生イーストは選別した酵母をタンクで純粋培養後に脱水成型しただけ。上の表にあるように、様々な特徴を持った生イーストが各社で作られています。

日本の生イーストは糖の適応範囲が広いのが特徴です。一方、菓子パンをあまり作らない欧米の生イーストの糖耐性は高くないそうです。


生イーストの方が美味しいパンができるってホント?


『生イーストの方がパンが美味しい』という意見を時々目にします。でもこれ、少し誤解があるかもしれません。

生イーストの方が強く早く発酵するのは間違いありません。在り合わせの環境でパン作りをするホームベーキングでもしっかり発酵するので、ボリュームが出やすい。

ただし、先行ダッシュ型で最初に勢いがつくので発酵時間が長いと後半に発酵力が落ちます。これが、ベーカリーで生イーストとドライイーストが使い分けられる理由です。



これは、サフ・インスタントドライイーストのパッケージに書かれている「生イースト→サフ変換表」です。皆さんは見たことありますか?



生イースト500g → サフ167g+水333g

生イーストは70%が水分です。そのため、置き換えの際には「水」も増減する必要があります。

インスタントドライイーストで書かれたレシピを生イーストに置き換える場合も同じです。3倍の生イーストを使えば、ドライイーストの配合より水も増えてます。同じ条件でパンを作るなら、吸水を減らさなければなりません。

サフ10g → 生イースト30g-水20g


イーストの比較製パンをしたブログや動画をいくつか参照してみましょう。

※参照させていただいたものの内容を指摘する意図は全くありません。あくまでも比較試験の結果の要因について気付いたことを書かせていただくだけです。ご理解願います。

①パン教室 オハナ様


③完全感覚ベイカー氏




①と②の比較試験ではどちらも「イースト以外の配合は全く同じ」。

③の概要欄のレシピを見ると、生イースト8gに対してインスタントドライを5g使用しています。これはドライイーストが多すぎです。基本の置き換え比率は1/3ですから倍くらい使っていることになります。

「ドライイーストの発酵が早い」「イースト臭が残っている」と評価してますが、これはイーストが多いのですから当然です、、、


この比較試験ではどれも水分調整をしていませんね。

インスタントドライイーストの配合量は、小麦粉100gに対して1g程度。

これを生イーストに置き換えると3gで、このうちの2gは「水分」。仕込水を2g増やしたら生地がかなり柔らかくなりませんか?


生イーストの生地の方が柔らかくパンの膨らみが良いと感じるのは、同条件比較では吸水が多いことや発酵が早いことが影響していると思います。


こちらもぜひ。


まとめ それぞれのイーストの長所と短所


生イースト

長所
  • 発酵が強く早い
  • 砂糖の配合量や発酵温度に影響されにくい
  • 縦方向に膨らむ
  • 食パン・菓子パンなど日本のパンに適する

短所
  • 保存が冷蔵で賞味期限が短い(冷凍不可!)
  • 発酵時間の長いものやふわふわに発酵させたくないものには向いていない

セミドライイースト


長所
  • 冷凍で長期保存可能
  • 予備発酵が不要
  • 発酵温度に影響されにくい
  • ビタミンCが入っていない
  • オールマイティー

短所
  • 販売・保存が冷凍
  • 赤と金の2種類ある
  • 使用量がインスタントイーストより多い(約1.5倍)

インスタントドライイースト


長所
  • 常温長期販売で、開封後も冷凍で長期保存可能
  • 予備発酵不要
  • 発酵が穏やかで安定しておりコントロールがしやすい
  • ビタミンC入り(赤・金)と無し(青)がある
  • 使用量が少ない
  • 赤サフは低糖長時間発酵の生地に最適
  • 金サフは生イースト同様に菓子パンに使用できる

短所
  • 横に膨らみやすい(→ビタミンCはこれを補う働きをする)。
  • 低温発酵にやや弱いと言われる
  • 3種類(低糖用・高糖用・ビタミンC無し)の使い分けが必要

アクティブドライイースト


長所
  • ビタミンCが入っていない
  • 発酵の立ち上がりがゆっくりで持続性がある
  • シンプルな配合の長時間発酵生地に向いている

短所
  • 予備発酵が必要
  • 発酵の立ち上がりが遅い
  • インスタントイーストより使用量が多い(約1.5倍)
  • 不活性イーストによる独特の香りがある
  • 砂糖の多い生地やリッチな配合のパンには向かない

ラピッドライズ・クイックライズ


長所
  • 予備発酵の必要なし(インスタントドライイーストと同じ)
  • アクティブドライイーストに比べて発酵が早く始まる

短所
  • 勢いよく発酵するが持続力が無く安定しない
  • 長時間発酵や中種法などに使用すると後半に発酵力が極端に弱まる
  • 菓子パン系は特にコントロールが難しい
  • オールマイティーに使用できない

赤サフをメインにされている方が多いと思いますが、赤サフは砂糖の多い生地が苦手😣です。でもビタミンCが入っているのでリーンな配合でもしっかり窯伸びします。

生イースト、インスタントドライイースト、セミドライイースト、それぞれに長所短所があります。この記事が、皆さんがご自分のパン作りに合ったイーストを選ぶ参考になれば嬉しく思います。


読んでいただきありがとうございました。最後にブログトップの応援ボタンを押してくださると嬉しいです。お互い良い一日になりますように(^^♪
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