※2022年5月 改定
アメリカのアパート備え付けのオーブンで美味しいパンを焼くには、ちょっとした工夫が必要です!
アメリカには「Viking」などハイスペックオーブもありますが、大方のアパートに備え付けのオーブンはやたら大きいくせにパワーが無く、さらに蓄熱性がとても悪い。。。
パンを焼くには致命的!
アメリカのオーブンはパンを焼くのに向いてない
そもそも、オーブンのマニュアルにパンを焼く設定の説明がついていない(もちろん全部ではありませんが)。
①天板がついていない
一般的についていないらしいです。
スーパーに大きなアルミトレイやいろいろなサイズの天板が売っているので、まずはそれらを買うところから。。。
②Bake(ベイク)とBroil(ブロイル)?
うちのアパートのオーブンは、GEの最安値タイプ。
オーブンの中はヒーターがむき出しになっていて”大きなオーブントースター”みたいな感じ。こんなんじゃパンが丸焦げになっちゃうじゃん!
いろいろ試した結果、Bakeの時は上火が付かないとわかりました。
③火力が低く、蓄熱性が悪い。
220v以上が主流の欧州のオーブンはパワーがあるので温度が比較的安定しています。
が、アメリカ(120v)は日本(100v)と同程度。そのくせサイズはヨーロッパタイプよりひと回り大きく、庫内の温度が安定しません。
さらに、我が家のオーブンは上のストーブ(コンロ)の一か所が排気口(ダンパー)になっていて、そこからオーブンの熱気と蒸気が逃げる構造になってる。
アメリカのオーブンでパンがうまく焼けない理由
パン屋さんとホームベーキングのパンの焼き方の違い、オーブンの性能だけではありません。見落としがちなことがもうひとつ。
それは、
「パン屋さんは一度に大量のパンをオーブンに入れる」ということ。
狭いオーブンに大量のパンを入れた直後、当然オーブン内は一時的に温度が下がります。
そして、パン自体の水分で湿度が高くなります。
パンの表面が乾いて固まるまでのこの数分間に、”スチーム加熱”でパンがふっくらと膨らみます。
一方、アメリカの家庭用オーブン
日本の電気オーブンの2~3倍はあろうかという容積、
ヒーターは底の電熱一か所のみでしかも”剥き出し”、
その中に数個のパンを入れて焼く。
大きな扉を開けてパンを入れるとオーブンの温度が一気に下がり、それを設定温度まで上げようと底のヒーターが真っ赤になる。
業務用オーブンのように「輻射熱で間接的に焼く」のではなく、「乾いた電気の熱が直接パンに当たる」ため、あっという間にパンの表面が乾いて固まってしまう。。。
この最初の数分の違いが、アメリカのオーブンでパンをふっくら窯伸びさせて焼き上げるのが難しい要因です。
美味しいパンを焼くための工夫
①オーブンを高温で安定させる
食パンやフランスパンなどの大型のパンを十分に窯伸びさせ、中はしっとりふわふわ、外はカリッと香ばしく焼くためには、庫内の温度を安定(蓄熱)させなければなりません。
この”ヒーターむき出しのオーブン”では十分蓄熱できないので、オーブン内に熱を溜めるための黒くて重いものを入れて予熱します。
例えば、
- 鋳物(キャストアイロン)のグリルパンやスキレット
- アウトドア用のダッチオーブン
- 鉄のフライパンやピザストーン
私は、このオーブン用にピザスチール(鉄板)を買いました(写真下)。
キャストアイロンのステーキパンやピザストーンを入れ、パンを焼き始める30分以上前から十分に予熱しておきます。(温度計で確認しましょう。中に重いものを入れている場合や450F以上で予熱する場合は2時間近くかかる事もあります。)
オーブンにパンを入れたら、しばらくの間(5分程度)はヒーターが付かないようにスイッチを切るか設定温度を下げてください。
②小さいパンはオーブン中段以上で、Broilモードも活用
私はこれしか使ったことが無いので他のオーブンは知りませんが、このタイプのオーブンはBakeモードでは上火が着きません。ただし庫内の温度センサーは上部についているので、温度が下がると下からの加熱が強くなります。
結果、パンの底が焦げやすく、焼き色が着きにくい。。。見た目の焼き色を目安にすると焼き過ぎになりがちです。
オーブンは上段の方が温度が高いので、特に小さいパンを焼く時はラックを中段以上に置いた方が焼き色が早く着きます。
また、あんぱんなど焼き色をしっかり着けたいパンの場合は、少しBroilモードに切り替えて上火を入れると良いでしょう。私は、焼き色が薄く着いてきたタイミングでBroil(低)に切り替えて30~60秒、再びBakeに戻して焼き上げています。
③ハード系は蓋付き鍋で焼く
アメリカのオーブンは容積が大きく蒸気を十分に入れることが難しいため、ハード系のパンは蓋付き鍋で焼く方法が一番安定しています。
①蓋付きのダッチオーブンを十分に予熱する。
②それを一旦出して発酵後のパンをベーキングシートごと入れて蓋をする。
③それをオーブンに戻す。
④途中でダッチオーブンの蓋を取って上面に焼き色をつける。
蓋をするので、スチーム(蒸気)を入れる必要がありません。
ただし、鍋の大きさ&形のものしか焼けないです。
※最後まで蓋をしたまま焼く方もいますが、ハード系のパンの場合はクラストが厚くなったり、ヒキが強くなったりしがちです。20分前後で蒸気を抜くようにしてください。
オーブンも鍋も予熱せずに焼く「コールドスタート」もおすすめです。
④鍋を使わず高温+スチームでパンを焼くアイデア
山型食パンやフランスパンを焼く時は、オーブン内に十分なスチームを入れたい。
スチームのアイデアについては、別途フランスパン版の方に詳しく書いたのでそちらを参照ください。
コンベクションオーブン(熱風循環)のパン焼きは難しい
コンベクションオーブンの長所は熱風によって庫内温度が安定し、表面がパリッと焼ける事ですが、、、
熱風の当たり方で焼きムラが出やすい。
蒸気を入れることができないので、スチーム焼成は難しい。
という欠点があります。
上記以外のパンを焼くテクニックは、
ストーンやキャストアイロンを入れて予熱でしっかり蓄熱させる。
→生地を入れたらオーブンを切ってファンを止め、10分くらい放置して窯伸びさせる。
→その後再びスイッチを入れて焼き上げる。
スチームを入れられないので、型を使わないハード系を焼くのが最も難しいです。
アメリカにはいろいろな形のBaker(ベイカー)という陶器製の型が売っていて、蒸気を閉じ込めて焼くタイプのパンに利用されています。
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