🍞今日のパン
先日、パン屋のサッちゃんと話していて「サワー種(自家製発酵種)でパンを作るのはスゴイみたいに思われないようにしたい」という話題になりました。
これ、ちょっと前に私が焼いたサワードウブレッドです。なかなかでしょう?😁
日本ではこういうパンを一般的にフランス語の「カンパーニュ(田舎パン)」と呼ぶことが多いと思いますが、フランスでは自家製発酵種(ルヴァン)で作るものは「パン・オ・ルヴァン」と呼びます。”自然発酵種のパン”という意味です。単一培養された『イースト』が世に出る以前はビールやブドウなどから作られる自然発酵種でパンを作っていたので、いわゆる”原点回帰のパン”です。
イーストが工業的に製造されるようになってから、フランスでは”手抜きパン”を作るパン屋さんが増えたそうです。そこで、「天然酵母もどきパン」と「本物のパン・オ・ルヴァン」を区別するために、パン・オ・ルヴァンと名乗れるパンを定義した法律ができました。パンの国フランスならでは、ですね。
日本のパン職人はフランスやドイツの技術をベースにする人が多いので、一般的にパンの呼称や作り方も欧州に倣う人が多いと思います。
日本にはルールがあるわけではないですし、どう作ろうがどう名付けようがパン屋さん個人の自由です。
フランス語の「パン・オ・ルヴァン」を英語に訳すと「サワードウブレッド」。
アメリカではサワードウブレッドと呼ばれ、ルヴァン=サワー種です。アメリカも日本と同じくフランスのような基準があるわけではありません。
ここまでが前置き😅
先日、私がこの写真のパンを「完璧サワードウブレッド」とSNSに投稿したら、あるサワードウベイカーさんから怒られちゃった💦 「これはサワードウブレッドとは呼べません!」と。
公開したレシピを見て少量のインスタントドライイーストが使われてるのに気づいて、「イーストも使っているからサワードウブレッドじゃない」とクレームがついた。
その人いわく、「サワードウブレッドを作るには、サワー種を正しくメンテナンスし続けなければならないし、それを使ってパンを焼くためには知識や技術が必要です。”工業的に加工されたイースト”を使ったベイクとは一線を画すもので、100%野生酵母だけで焼いたもののみがサワードウブレッドと呼ばれるに値します。イーストを少しでも使ったら、それはイーストベイクであってサワードウベイクではありません」と。
要は、「あなたはズルをしている」と言いたいんだと思います。
かつての日本の天然酵母パンブームの時も似たような風潮がありました。発酵種だけでパンを焼くにはそれなりの情熱が必要なので、イーストベイカー=初心者、サワードウベイカー=上級者 的な勘違いになりやすいんですよね。。。アメリカは今ものすごいサワードウホームベーキングブームで、サワードウオタクと呼ぶに相応しいほどのめり込んでいる人も多いです。ペットを飼っているかのようにリフレッシュし続けなければならないサワードウスターターに対する愛着や、みんなに褒められるパンを焼けるようになるまでの努力に対する自負心から、”根性”が無い人には落伍者の烙印が押される、、、
自然発酵種を使うメリットはたくさんあります。美味しくなる、消化が良くなる、パンが長持ちする、などなど。一方でデメリットもあります。発酵に時間がかかる、発酵力が安定しない、パンが酸っぱくなる、など。
製パンのサイエンスを正しく理解する人こそ、自分が理想とする美味しいパンを作るために発酵種とイーストを組み合わせることに何の抵抗も無いと思います。目的はパン作りを頑張ることではなく、自分が食べたい美味しいパンを作る事なのですから。
ちなみに、上に書いたフランスの法律では「小麦粉100に対して0.2までイースト(生)を使用しても良い」となっています。(ドライイースト換算では0.07程度)イーストが混ざったら自然種のパンとは言えないなんて言ってない。
発酵種は、一定の条件でメンテナンスしているつもりでも、決して常に同じ状態を保つことはできません。微生物のご機嫌次第。パンを作る人が微生物のご機嫌に合わせる余裕があればいいですけど、パン屋でそんなことしてたら商品が焼きあがらない💦 そのため、「パン・オ・ルヴァン」の本質を損なうことの無い量のイーストを加えることが認められています。ごくわずかのイーストが使われたとしても、出来上がったパンは「パン・オ・ルヴァン」だということ。
日本のパンの技術教本にはよく書かれているし、日本では併用するパン屋さんが多いです。私ももちろん知っていたし、他人から自分が趣味で焼いているパンにクレームをつけられるなんて想像もしませんでした😅
時々、アメリカのベイカーさんの中に「イーストでパンを焼いている人はどのくらいいますか?」とか「イーストで焼いたパンを投稿してもいいですか?」といった質問をする人を見かけるので、「肩身が狭い」と思わされているんでしょうね。「自分もイーストを併用して焼いているけれど、それはズル(cheat)だと思って言えなかった」と書く人もいました。
自分が楽しむベーキングで他人からそんな思いをさせられるなんて、まったく酷い話です💢
たまたま、キングアーサーフラワーの技術アドバイザーのこんなブログを見つけました。この中にまさに同様のことが書いてありました。
サワードウブレッドのレシピに市販のイーストを加えたら、もはやサワードウブレッドとは呼べないと主張する人たちがいる。実際、フェイスブックの様々なサワードウブレッド・グループで、私はコンスタントに「イーストを貶める」行いを目にしてきました: 「イーストを使いたいなら別のグループを探すべきだ。ここは本物のサワードウ・ベーカーに限られている」。初心者のベイカーが恥ずかしそうにそそくさと立ち去る姿が目に浮かびます。他のベイカーからのこのような非難はまったく不当であり、私は心を傷めています。
彼女の意見に100%同意します。自分のために作るパンに、誰かから「あなたのパンはインチキだ」なんて言われる筋合いはこれっぽっちもない!!!このブログを見つけて溜飲を下げたのでした😁
読んでいただきありがとうございました。最後にブログトップの応援ボタンを押してくださると嬉しいです。お互い良い一日になりますように(^^♪
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