ANOVAオーブンを購入して概ね半年が経ちました。購入直後はパン焼きにやや苦戦しましたが、試行錯誤を経てこのオーブンで上手にパンを焼くためのコツと注意点がわかってきました。
ANOVAオーブンパン焼きの問題点と解決案
他の電気オーブンと大きく違う特徴があり、一般的なレシピに書かれている設定条件のままではパンをうまく焼けません。パン焼き初心者さんには大変悩ましい問題だと思います。
① 密閉性が非常に高く、水分が十分に抜けない
精密な温度と湿度の管理を実現するため、密閉性が非常に高いです。パンから出た蒸気がオーブン外に排出されにくいため、蒸し焼き状態になりやすい。スイートロール類はしっとり焼き上がって美味しいですが、大きいパンはクラストがgummyになったり、焼き上げ後に皺になることがあります。
海外のユーザーさんの多くが、前半はスチーム100%(→スイッチオフ)、後半は蒸気0%の設定でサワードウブレッドを焼いています。パンの見た目は良いですが、この焼き方では内部の水分が十分抜けておらず、クラストも柔らかすぎると感じる方がいると思います。
② 下火が弱く底が焼けない
ボトムヒーターは基本的に低温調理用に設計されており、ボトムヒーター単体の能力は180℃が最高です。さらに3つのヒーターのうち出力が最も弱いため、低温の天板や生地を即座に下から強く加熱することができません。多くのユーザーが最初は「パンの底が焼けない」と苦情を言います。
③ 上火は強すぎて焦げやすい
トップヒーターは熱線むき出しタイプです。トップヒーターでパンを焼くと、焼きムラが出やすく直火で焦げやすい。
④ リアヒーターはファンが強すぎる
ファンは、アプリを使ってオーブン設定すると「オフ・低・中・高」の4段階から選べます。
しかし『リアヒーターを使う』『蒸気を使う』このいずれかの条件では必然的に「高」しか選択できなくなります。パンをオーブンに入れた直後に強い熱風が表面に当たると、パンがオーブンスプリング(窯伸び)しにくくなります。
⑤ 焼き色が早く着く
熱風オーブンは表面の焼き色が早くつきます。一般的なレシピに書かれている条件で焼くと、パンが焦げます。
ANOVAオーブンパン焼きの利点
東芝の「石窯ドーム」などを使用している方々がよく「最高温度に設定しても実際にはその温度まで達しない」というようなことを書かれているのを見ます。
温度の信頼性は高く、外はパリッ中はしっとり
ANOVAオーブンは最高温度が250℃ですが、実際にしっかり250℃まで上がるし、ベーキングスチールやピザストーンを十分に熱しておけばオーブンをオフにしても生地を入れてから15分以上も180℃以上を維持できます。それゆえ、予熱したダッチオーブンで焼くのに近い、しっかりクープの開いたサワードウブレッドやカンパーニュを焼くことができます。
特に、加水の多い生地の場合などは、生地から蒸発する水分だけでオーブン内が十分な湿度になるためパンが早く焼けます。いろいろな方法で試してみましたが、十分に焼けていても焼減率(水分蒸発率)は普通のオーブンより低いです。上手に使いこなすと、表面はパリッ中はしっとり、と焼き上げることができます。
スチームは生地をしっかり膨らませる
最初の項目で「蒸気が抜けにくい」と書きましたが、高温蒸気はパンのボリュームを出すのには効果的です。
私もパネットーネの発酵に失敗した時に、無理やり蒸気を入れて焼いたことがあります。普通のオーブンだったら絶対無理だったろうと思うほど膨らんだので驚きました。
スチームの量や使い方はパンの種類や個人の好みでいろいろ調整するのが良いと思います。
プローブセンサー(芯温温度計)を使えば焼き過ぎも生焼けも無し
冒頭の写真でパンの中央にプローブセンサーを挿しているのが見えますよね。
このオーブンは焼き色が着きやすいので、初めて作るパンや大きいパンなどは焼け具合を判断するのが難しいです。そんな時はプローブセンサーを使いましょう。
8割方焼き色が着いた頃、割れ目などの目立たない場所から中心部までセンサーを差し込み、反対側をオーブンにセットします。最初からセンサーを挿してオーブンに入れると、穴が開いたり外れたりしやすいです。
アプリ画面にこのように温度が表示されます。何も入力する必要はありません。モニタリングするだけ。
中心部の温度が90℃に達したら、多少センサーが中心からズレていたとしてもパン全体に火が通って焼けています。その時の焼成条件を目安に自分好みの焼き加減に調整すれば、次回からセンサーは必要ありません。
例えば、パネットーネは大きくて焼き加減がわかりにくく、焼き足りなければつぶれてしまうし、焼き過ぎるとパサパサになってしまう。プローブセンサーはものすごく役に立ちます!
私のパン焼き例
最高温度が250℃なので、350℃のピザオーブンと同じ仕上がりを期待してはいけません。
ですが、7〜8分で家庭用オーブンとしては十分満足な仕上がりになります。Top+Bottomでしっかりスチールもしくはストーンを焼いておくこと。
ベーキングペーパーに載せた生地をオーブンに入れた後、1~2分後にペーパーを引っ張り出して直焼きすると底がこんがり焼けます。
パネットーネは180~200℃焼成が一般的ですが、150~160℃で同じ時間焼いてちょうど良いくらいです。
本来のコンベクションオーブン(熱風オーブン)は乾燥焼きになるので、デニッシュやクロワッサンを最も得意とするところですが、ANOVAオーブンに限っては密閉性の高さゆえ途中で蒸気を抜く必要があります。
イングリッシュマフィンのような天焼きアイテムは、Top+Bottom、Fan-ON で上段のラックで焼きます。
山型食パンは焼成温度が高すぎると十分窯伸びしないし上が焦げます。また、蒸気がこもり過ぎると食感の悪い焼き上がりになります。170~185℃で、窯伸び後はスチームを40→15%と二段階で減らして焼いてます。
サワードウブレッドやカンパーニュは、予熱250℃/100%の後、生地を入れてスイッチを切るか【180℃/0%/Bottom/Fan-Off】に設定すれば、10~15分でだいたいクープがこういう風に開きます。後半の焼き方は人それぞれですが、私は180~200℃で20〜10%の蒸気設定で焼いてます。
その他のANOVAオーブンについての投稿は【カテゴリー:ANOVAオーブンのこと】から
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