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日本とアメリカの準強力粉(オールパーパスフラワー)で食パン焼き比べ

2024年7月31日水曜日

アメリカの小麦粉 パン作り・材料

🍞今日のパン

 前回の強力粉焼き比べの続きです。

 今回は、渡米直後その使い方に多くの日本人が頭を悩ませる「オールパーパスフラワー」の比較です。

 日本人には耳慣れない種類の小麦粉ですが、世界では、この「オールパーパスフラワー」”何でも作れる小麦粉”が最も一般的なパン・菓子用粉とされているところが多いです。


 特にこのキングアーサーブレッドフラワーのオールパーパス(赤い袋)はタンパク質含量が「11.7%」と大きく記載されているので、多くの人が日本の強力粉(カメリヤは11.8%)と同等だと誤解し、これを使って日本のレシピでパンを作ろうとして苦戦します💦

 実際にはオールパーパス粉を日本の分類に当てはめる場合は「準強力粉~中力粉」に相当します。

 アメリカのオールパーパスフラワーと、成分がそれに近い日清製粉トラディショナルを使って焼き比べをしてみました。

小麦粉自体の違い


 キングアーサーのオールパーパス粉は、アメリカ国内では業務用として「Sir Galahad Artisan Flour」として知られています。



King Arthur Flour / All-purpose Flour 

原材料
 Unbleached Hard Red Wheat Flour(無漂白硬質赤小麦粉)、Enzyme(酵素≒モルト)

成分値(水分14%として)
 Protein(たん白) 11.7%
 Ash (灰分)0.5%



 一般に流通している5ポンド袋の原材料表示ではブレッドフラワーとオールパーパスは同じに見えますが、実際にはブレッドフラワーは『冬小麦』主体オールパーパスフラワーは『春小麦』主体で同じではないです。


日清製粉 準強力粉トラディショナル



タンパク質11.6% 灰分0.43% 粉末麦芽(モルト)入り

販社商品説明より



 小麦粉徹底解説記事にも書いたように、私個人としては「ソレドオル」という昔からあるフランスパン用粉が近いんじゃないかと思っているのですが、現在は富澤商店などで小袋で販売していないみたいで手に入らなかったので、これ↑を代わりに使用しました。

 富澤商店さんの準強力粉のマッピングで見ると、『フランス(鳥越製粉)』がソレドオルに近いのかな。



食パン焼き比べ


 在米中に実際にオールパーパスフラワーでも食パンを焼いた事があるので、今回もそのレシピを使いました。



 その他の原材料は日本で購入したものを使用しました。水は日本の水道水、砂糖はグラニュー糖ではなく上白糖。あと、レシピでは無塩バターとなっていますが、今回は風味の違いがより分かりやすいようにショートニングを使用しました。


 小麦粉そのものの見た目はほとんど違いがありませんが、手触りが若干オールパーパスフラワーの方がザラつく感じがします。


キングアーサー「オールパーパスフラワー」で焼いた食パン



 ブレッドフラワーに比べてグルテンが少ないのでミキシング時間は短く、生地も切れやすい。カメリヤよりさらに大人しい感じの食パンが焼けました。


「トラディショナル」で焼いた食パン



 ミキシング後の生地はオールパーパスよりさらに弱い感じだったのですが、、、上の写真のとおり、オーブン内でグーンと予想外に窯伸びして、ブレッドフラワーの食パンのようになりました😲

この"窯伸び"でふとこれ↓を思い出しました。


ボブズレッドミル アルチザンブレッドフラワー



食べ比べ(生)


左がキングアーサー、右がトラディショナル


強力粉の比較よりずーっっと差が大きくて、食べてその違いにビックリしました!!

 キングアーサーオールパーパスの方は、ソフトで軽く食べやすい食感でこれはこれで有りだと思います。

 トラディショナルの方は、商品説明のとおり香りがすごく香ばしくて、食パンなのにフランスパンの匂いがします。クラムは穴が大きくクラストは香ばしくて歯切れが良いので、まさに伝統的な「バゲット・トラディション」のために作られた小麦粉というのも頷けます。クラムはもちもちしっとり(私にはちょっとネチネチし過ぎ😅)


食べ比べ(トースト)



オールパーパスの方は、、、何の変哲もない普通の食パン💦”日本のスーパーで売ってる安い食パン”みたいな感じ😅

トラディショナルの方は、クラストはサクサク軽く、クラムはもちっとして甘味を感じます。


しつこいようですが、、、ソレドォルで比べてみたかったな~やっぱり。



 アメリカのオールパーパスフラワーは、パンの種類に応じてブレッドフラワーとブレンドして使うのが良いと改めて思いました。


 日本の準強力粉は、北米産、ヨーロッパ産、国産と原料小麦の種類もいろいろ、挽き方や風味もいろいろで、パン・ド・ミやハード系からデニッシュ系とそれぞれ好みで使い分けると楽しいでしょうね。海外でも業務用はこうした使い分けも可能でしょうけど、一般商品者が丁寧な商品説明を元に気軽に使い分けられるのは日本だけではないでしょうか。

 2回の食パン焼き比べを通じて、日本人の食いしん坊ぶりがパンの世界でも遺憾なく発揮されているな~と感じました。

その他小麦粉関連の投稿は【カテゴリー:アメリカの小麦粉】から!

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